講師 秦 好子氏
初の女性消防士であり、防災コンサルタントの秦さんのお話は≪防災≫の意識をガラリと変えるものでした。
「第一に自分の命を守る、次に近隣で助け合うこと」(一人ぼっちが一番怖い)
たとえば非常用グッズをそろえても役に立つのは生き残ってからの話。実際、阪神淡路大震災での死亡原因
の多くは圧死でした。秦さんいわく「葬式代は残さずとも、一部屋でも耐震補強して安心できる避難部屋を
作る。まず命を守ることが先決」
また、木造住宅が多く密集する中野区で恐ろしいのは火災。当時神戸で出動できた消防車はわずか40台、
がれきが道をはばみ炎が電線を伝ってくる中、ご近所同士のバケツリレーが延焼を食い止めた例もありました。
地震が起きたら自分はどう行動するのか想定しておくことが必要。たとえば散歩しながら広い道や、逃げ込める
大きな建物を見つける、避難所へのルートを何通りか歩いて確認してみる。
「助けようとする心が助けてもらうことにつながる」
誰かのために自分のできることを考える。
力仕事は無理でも炊き出しなら手伝えるなど。
常に自分から挨拶を心がけるなどして近所に顔見知りをつくる。一日15分でもいいので自分の時間の5%
を地域のために使う、道のごみを拾うことからでもよし、自分が地域にいることを印象づける。
これらを秦さんは「笑費税」と呼び、心のふれあいづくりを呼びかけています。
東関東大震災で「自分を助けてくれたのは誰か?」の答えは7:2:1の割合でご近所:消防署:自衛隊
の順でした。救助はすぐには来ない、せめて三日間は、自分たちで持ちこたえる準備をしておく。
官(公)に頼るのではなく民(町会や企業、商店街など)で様々な協力体制を日頃話し合っておくことが大切だそうです。
ほかにも避難所で最も困るトイレのことやエコな暮らしが実は災害に強いことなど、実践的なサバイバル術もうかがいました。
震災の映像も交え、災害弱者といわれる高齢者、女性、子どもへの対応が配慮に欠けるものであった現実や、救えるはずだった命の問題など、過去の教訓から学ばなければならないこと、今から備えることの大切さを痛感させるお話でした。
平成24年11月6日(火)江古田区民活動センター2階洋室にて